イスラエルとパレスチナ戦争の背景と原因ー№04
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イスラエルとパレスチナの戦争、その背景と原因を読み解く―04
3.イスラエルが何故、米国と蜜月の関係に有るのか、読み解く。冒頭、私は、この戦争は国と国、宗教と宗教、民族と民族との戦争であり…………と書いたが、その様な事から、私自身、様々な書物や文献などを調べ、読んでみたが、やはり、最も深い根っ子の部分は、やはり「宗教問題」であり、それらが歴史的にも非常に大きな要因となっている様に考えられるのです。
4. ホロコーストと罪悪感ホロコーストのおぞましい記憶も、米国のイスラエル支持において重要な役割を果たしていると言われる。ホロコーストは世界に衝撃を与え、反ユダヤ主義の行き着く先を世界の眼前に突きつけ、ユダヤ人の為の安全な祖国の必要性を世界的に認識させた。他の西側諸国と同様、米国も第二次世界大戦中に600万人ものユダヤ人が大量虐殺されたにもかかわらず、それを防ぐ為に何もしなかったという深い罪の意識に囚われた。
ハリー・トルーマン大統領やドワイト・アイゼンハワー大統領といった米国の政治家たちは、ホロコーストに対する恐怖を表明し安全な祖国を求めるユダヤ人を支援する道義的責任を感じていた。又、ロナルド・レーガン大統領やジミー・カーター大統領等も「道徳的義務感」」「道義的責任」そして「罪悪感」が残っている事を、米国がイスラエルの安全保障に揺ぎ無くコミットする理由とした。
5.民主主義的価値観の共有米国がイスラエルを支持する更なる重要な理由は、民主主義へのコミットメントを両国が共有している事である。又、米国の対外政策は「宗教」と「啓蒙主義的リベラリズム」と言う2つの互いに絡み合った柱に基づいていると言われている。そしてイスラエルは建国以来、定期的に自由選挙を実施し独立した司法を維持し言論の自由や信教の自由を含む市民の権利を保障してきたのであり、この為、自らを「自由世界のリーダー」と見なすアメリカにとってイスラエルは自然なパートナーとなってきたのである。それにイスラエルが中東の「独裁的」で「神権的」な政権と生き残りをかけて戦う民主主義国家であると言う認識は、人権、自由、民主主義を擁護すると言う、より広範な米国的価値観とも一致するのである。ヒラリー・クリントン国務長官は、価値観の共有という点について「イスラエルの物語には、私たち自身の物語があり、自由と自らの運命を切り開く権利を求めて闘った全ての人々の物語がある」。後任のジョン・ケリーは「中東の砂漠に家を構えた米国の家族の分家を訪れている様な気がした」と述べている。
6. 戦略的地政学的利益 米国は、イスラエルの入植地拡大やガザへの軍事行動に対して国際社会から批判を受けるたびに、国連などの国際フォーラムで、何故ここまでイスラエルを擁護しなければならないのか、と言う状況に追い込まれ、外交的に孤立する事が少なくなかった。この事によりアメリカは他の国際的な課題(核不拡散や人権問題など)に於いても多国間での協力を得る事が難しくなってきたのである。2023年10月以降のイスラエルによるガザ、レバノン、そしてイランに対する軍事行動に際しても、同様の事が繰り返された。
それとは別に、イスラエルが米国に対して与える経済的負担は大きく無視できない状況とまでなってきた。米国はイスラエルに対し毎年数十億ドルに及ぶ軍事援助を提供しており、この金額は米国の対外援助の中でも突出しているのである。しかも、この援助が、他の地域や課題に対し向けるべき資源を相当に圧迫しているという批判もある、しかも、イスラエルは経済的には既に豊かになってきており、且つ、自前の防衛産業を持つ先進国となった今、米国からの援助が余りにも過剰過ぎるのでは、と言う見方もあり、この様にイスラエルへの過剰な支援は、逆に米国の経済的利益に対する負担を闇雲に増加させていると言う批判が協力関係にある国々からも相当に強くなってきているのである。
7. イスラエル・ロビーと政治献金の影響力イスラエル・ロビー ここでは簡潔に「米国の外交政策をイスラエル寄りにしようと活動している個人や諸団体の緩やかな連合体」と定義しておく、これらが米国の中東政策を過度に歪めていると言う主張は、学術的にも公共の場での議論に於いても様々な物議を醸しながら様々な立場からの議論が展開されているのである。この主張を支持する論者は、親イスラエル・ロビー団体が米国の外交政策に対し、不釣り合いな程に影響力を持ち、結果的にイスラエルの利益が米国の広範な戦略的な目標に関し相当優先されていると論じているが、只、この主張に反対する者は、米国の対イスラエル政策が戦略的及びイデオロギー的な利益を共有する事に基づいており、イスラエル・ロビーの影響力は重要ではあるものの、米国の中東政策を形成する多くの要因の一つに過ぎないと主張しているが、しかし、イスラエル・ロビーが米国の中東政策を歪めている、とする主張の中で最も有名な議論はジョン・ミアシャイマーとスティーヴン・ウォルトによる2007年の著書『イスラエル・ロビーと米国の外交政策』に展開されているが、彼らによれば、AIPAC(米国・イスラエル公共問題委員会)を始めとする親イスラエル的団体が、ロビー活動、広報キャンペーン、政治家候補への資金献金を通じ、米国の政策立案者に対し過剰な影響力を行使し結果、米国の広範な利益と矛盾する場合にあっても、米国の外交政策として、特に軍事援助、外交支援、イスラエル・パレスチナ問題に関する政策等が常にイスラエルに有利な方向に傾き、歪められていると言い、これらが米国の戦略的、又は、道徳的利益と一致しない政策の決定をもたらしていると論じている。
結論米国のイスラエルに対する寛大な支援は、宗教的、歴史的、文化的、政治的、戦略的要因が複雑に深く絡み合った結果であり、福音派キリスト教徒の宗教的信条、ユダヤ人に対する歴史的シンパシー、ホロコーストのトラウマ、民主主義的価値観の共有、中東における戦略的地政学的利益、イスラエル・ロビーの巨大な影響力など、全てが米国とイスラエルの特別な関係に寄与している。この様な様々な要因が組み合わさる事で、米国のイスラエル支援は揺るぎないものとなっているのである。更に、2020年に締結されたアブラハム合意以降、米国にとってのイスラエルの戦略的価値は大きく向上したとも、しばしば指摘されてきた。又、UAE、バーレーン、スーダン、モロッコというアラブ諸国がイスラエルとの外交関係を正常化した事で、米国のイスラエル支援が中東における米国の政治的影響力が必ずしも損なわない事が明らかになった。
これらのアラブ諸国は「パレスチナの大義」よりも経済的・安全保障的な実益を優先する姿勢を示した事でイスラエルが米国にとっての戦略的資産であるとの主張を後押しする材料となってきたが、しかし、こうした議論は2023年10月以降の「蛮行」ともいえるイスラエルの大規模攻勢により急速に萎んでいった事は記憶に新しいと思います。
それでは、今後、
イスラエルの急進化・右傾化やZ世代の台頭が米国・イスラエル関係を変化させ得るのであろうか?> 恐らくそうはならないであろう。米国の徹底的なイスラエル支持は、単純にイスラエル・ロビーの資金力や影響力のみに帰するものではなく、前述の様な歴史や理念といった様々な要因の絡む盤石なものにあるのである。多くの米国人にとって、イスラエルの存在を肯定する事は即ち自らの国家を肯定する事と同義であり、イスラエルへの支援は戦略や国益といった世俗的な利害を超えた倫理的・宗教的な義務に他ならないのである。したがって、それがいかに米国の国際的な評判や国益を損なう事に繋がろうとも、米国・イスラエル関係の現状が変化する可能性は極めて低いと言える、よって、この戦争は残念ながら行き着く所まで行く様な気がしてならないのだが、やはりトランプの動向が、どの様にこの戦争の終結に左右するのか、彼は大きなキーマンになってくるのかもしれません。 結、以上
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