『アルヴァロ・シザの建築づくり』について
アルヴァロ・シザ(Alvaro Joquim de Melo Siza Vieira)の建築づくりの活動の拠点はポルトガル北部の地方都市ポルトである。感性を開放し異文化を共鳴させる彼の建築創りの持論は『建築は内発的に建築家の頭の中から生まれるものではない、目や感性を開放する事で文化や発想の触発が起こり、それらの共鳴によって空間的な発明が生まれる。』と言う。
又、『私は様々な土地で仕事をする事が出来、建築家にとって幸せな事である。しかし、氾濫する情報に溺れるだけでは自分たちの文化を見失ってしまう、だからこそ違和感の顕在化や異文化の吸収の技術に対して意識的でなければならないと思う。』と言う。 物質性を越えて素材に物質性を越えた精神性の様なものを帯びさせたいと思う。木、石、鉄、レンガ、…………、それら素材への感受性は重要で、建築はその使い方次第で多様な表情を見せる。建築は基本的にシンプルな素材で出来ているものだ。その土地ならではの素材を選択する事も有れば、或る世界観を獲得する為に異なった文脈から素材を選択する事も可能、但し外部から新しい素材を用いる時は必然性を検証し、気まぐれに用いるべきではないと考える。多様性の中のバランスアルヴァ・アアルト(Alvar Aalto)は仕事に行き詰まるとスタジオの外に出てスケッチをしていたと言う。それはプロジェクトの為のものではなく、ある偏向への固執をいったん開放するための工夫であり、スケッチは発想を飛躍させる為の手段でもあったと言う。私は『プロジェクトは決して直線的なものではなく、時には寄り道も必要で、例えば住宅を設計する上では街全体に思考が拡散しなければならないし、記憶の中にある風景をリファレンスしなければならない時もある。直線的に描く一面と、それに対し批評的である続ける一面とを併せ持ちながら、そのバランスの中で設計は成り立っているのだ』と私は思う。そして『空間の創造は常に様々な要求のバランスの中にあり、自然のランドスケープからの要求や、それらを使う人々のアクティビティ、或いは機能からの要求、風土や経済的要因、時間的要求……等、これらと共存して建築は存在するものである』と考えている。特に自然との共存はずっと続き、そして最終的な課題は常に同じで在ります。自然の中に人間が如何に住むのか、この命題を何度も繰り返し、歴史の中で問い続けている。おして、それを受け止めた上で、建築は自然の中に新しいプロジェクトを問い続けなければなりません。そして、どんな時でも設計作業、そして建築は楽しいものである、と言う事を忘れてはならない、と言う事です。以上
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