私の視点、ものの捉え方・考え方ーPart- 3
建築のテーマやコンセプトが決まったならば次に単体建築に関する具体的な提案として平面計画や立面計画・断面計画・仕上げ計画等の様々な提案を具体的に、且つ、基本計画から最終的に建築の竣工に至るまで、各々の方向性などを念頭に置きながら提案していく必要があろうかと思っております。そして、その為の骨子となるテーマやコンセプト等に関しては、計画に取り組む前段として既にランドスケープデザインの中で決めており、よって、平面計画や立面・断面等の基本計画は、私の場合は考えているほど時間をかけずに進める事が出来るようです。
例えば、住宅の場合、最初にやるべき事は、客先から具体的な要望を聞き取る前に、先ず、客先が求めるライフスタイルとして、どの様なスタイルを描きながら暮らしたいと考えておられるのか、そして、その具現化の為には、現在の暮らし方に関し、過去と現在と未来までも、お聞きしたいと考えております。クライアントによっては現在の暮らし方に対して余りにも乖離する暮らし方を望まれる場合も有ったからです。やはり、従前の暮らしから極端に変わる暮らし方が客先にとって本当に幸せな事なのかどうなのか、共に考えて行く必要があるからなのです。又、住まいに関する客先の様々な思いや具体的な要望などについても、こときめ細かに、且つ、具体性のない思いや抽象的な言葉等も鵜呑みにせず、出来る限り具体的に客先との意思疎通を図る努力をしなければなりません。又、事前に、客先との意思疎通の為の手段として内外装に関する建築雑誌等からの切り抜き写真や、暖冷房方式システムに関するカタログ、台所回りに関するキッチンの考え方やカタログ、浴室周りの考え方やカタログ等を、客先から提供して頂く事も意思疎通の為には大事であります。それらを元に、私自身、客先からの要望や考え方に関する言葉を図面や絵、或いはスケッチにして、より十分に意思疎通が図れる様に努めてきました。
その他、設計に必要不可欠な建築基準法(施行令・施工細則・告示)や様々な関連法規制等のチェックを行い問題があれば客先に説明し、その事によるコスト増も併せて説明すべきと考えております。更に重要な事は曖昧な法的解釈はせずに直ぐ役所との事前協議による法的見解を伺う事であり、その事により、例えば、確認申請の許可済証が工事契約後(工事着手後)より遅れた場合でも、役所との事前協議により指摘事項による追加工事を極力無くす事が出来るからであります。
さて、客先家族からの要望が、必ずしも一本化にならない場合や、相反する要望などがあったり、と要望的に非常に面倒な事が多々出てまいりますが、私自身、この種の要望に対しは、特に時間を頂き、ご家族が要望を一本化して頂く努力をされるまで、それなりに時間をかけ、お待ちする事に努めております。
何故なら、設計完了後、或いは建築完成後に、客先ご家族の一人より『私の考えが入っていない!』『私の考えを設計者は理解していたと思った』『私は建築専門家でなく素人なのでわからなかった』『その様な要望はしていない!』等々、様々な苦情・クレームが発生するリスクが想定されますので、その様な事が起こらぬ様に、しっかりと客先との要望や意向を繰り返し繰り返し確認する事を細心の注意を払いながら心掛ける事が必要であります。しかし、それでも竣工後の客先からの苦情・クレームをゼロにする事は非常に難しく、いわば至難の業と言えます。
最後になりますが、私が客先に設計上の様々な案件について説明をする場合に良く用いる手法として、ペーパー上で太目の鉛筆にて、客先の目の前でフリーハンドのスケッチをしながら説明を行う事であります。
何故、この時代に鉛筆で、しかもフリーハンドスケッチで行うのか?又、その意義は何故なのか? と言う事に関しては16世紀初頭頃に現れ、様々な分野で天才振りを発揮したレオナルド・ダ・ヴィンチの影響があると思っております。つまり鉛筆を使いながら、手を動かす事で自分の第二の脳を活性化させ、その結果、様々な考え方やアイデアにも無限の広がりが湧き起こりこの設計に対するテーマやコンセプト等までもが生まれてくる様に思うのです。
その他に客先への設計に関する説明用として、簡単な模型やCGパース等を使いながら説明を行っておりますが、私的には住宅等に関しては、CGパース等よりもやはり模型の方が説明しやすいし、分かってもらえる様な気がしております。 以上です。
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